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『 むまさふ 』  - 18禁 -
黒澤和光 × 花木九里虎 (リバ:セックススケッチ)
20120130
 
 
 花木も黒澤も半ばはだかでベッドの上、にじり這ってゆくような時間の渦中。
 花木にとって、それは押し倒されてみてはじめて知る感覚だった。 
 ベッドにからだをひらいて仰向けに、自分の腿に跨る黒澤の上気した半裸、見上げる距離感、その重み。ふたりの顔と顔とはちょうど伸ばした腕1本分。殴り倒し、押し飛ばすはずの存在だろう、自分を組み敷くのがまして男なのだから---とは一概に思えない、知らないはずの感情の火種が俄か花木のからだにひろがる。
 黒澤の視線は確かに花木を見下ろしていた。黒い髪が垂れて顔の輪郭をおおいかくし、表情はわからない。 少なくとも記憶どおりの黒澤だと花木の目には映っていない。 ちりちりと不安に似たものを花木は胸のどこかで感じていた。
 このありさまを一度でも想像することは、花木にはなかった。自分が望むままいつでも黒澤に入れて、揺すって中に出す。はじめからそうだったし、今まで具合よく続いてきてた、筈だ。--- ふいの気紛れと思える黒澤の“そんな気分じゃねえ”のひと言が何度か立続き、何度か目のついさき程“いったい何のつもりね?”たまらず訊き返した花木はいきなりベッドに倒された。 
 
 「やっぱおかしかろう」花木はどうやっても感じる違和感を口にする。それを感じさせる充分な間が黒澤にはあった。
「オレが下でおまえが上なら問題ねえと思ってんだろ」 黒澤は組み敷く花木をたのしんでいた。
「そらそーたい」
「それに大した差はねえ」掴んだ花木の顎を正面に「どっちがどっちだろーが、ナニをどーしようが、野郎同士のセックスはホモだろう。今までさんざん貪ってきて今更細けえこと、ぶつくさ言ってんじゃねえ」左右に荒く揺さぶった。「ほら、キスすんだよ」
「 そげなこつ、今、口にすな」
 はっ、黒澤は笑う。「じゃあ、いつ言やいい? オレ等の間に何の照れか、え、九里虎? おまえは今まで自分が何をほざいてきたのかさっぱり憶えてねえみてーだな。 “好いとーよ”“今すぐしたか”“チューばせんね”“フェラばせんね”オレには馴染みのあるセリフなんだがよ、」顎を押さえつけたまま露骨に唇を重ねた。 「これを機に教えといてやろうか、おまえがいつもやってるホモセックスを。おまえ自身のからだにじっくりと」唇がはなれ、唾液の糸をひく。「まあ、入れて吐き出すだけが目的のおまえのやり方じゃ、つまらねえかな」そう言う口の端が楽しそうに笑い、また重ねた舌の奥でまじりあう。 「おまえにヤられる男より、オレにヤれる男の方がいい思いできるのはまず間違いねえだろうしな」
「ヤられ癖んクロサーに何ばできっと、」ハンッ、と鼻で哂った。
 丸まるクセ毛に指を通し押し上げ、あらわれた額やこめかみを撫で「テメーがまずやらねーことがオレにはできるかな、」耳朶を捻り上げ不遜に嘲う。
 これほど立続けに不快を喋る黒澤を花木は知らない。
 「それにしてもおまえ、おとなしいな。これからヤられるってヤツが抵抗もしねえ。もっとぎゃーぎゃーウゼエんじゃねえかって思ってたんだが。 満更でもねえんじゃねーか、掘られんのも」黒澤は花木のジーンズのボタンに指をかけ、外して中の縮れ毛越しの肉の筋をくすぐった。「もう、ちいとデケーみてえだし」
「こーなりゃ、もぉまな板の上の鯉ばい。こげなこつ、どげんでもなかろー」花木は横向いて口を尖んがらせる。
「そーだ、大したことじゃねえ。尻にチンポぶち込まれて、中出しされることなんか。まったく大したことじゃねえ。よく分かってんじゃねえか」 ジーンズの奥にぐっと両腕を挿し込み弾力ある尻の肉を鷲掴むように揉みしだく。チッ「いちいちデケー尻」 張りのある胸板の乳首もついでにきつく吸い上げた。
 
 剥き出しに突き上げた尻を揉まれながら、後ろから肉を執拗に舐められ、噛み付かれ、花木はそそり立てている。続け様に小刻みに扱かれながら、玉の裏筋を濡れてやわらかい唇が撫で回し、体液が垂れ下がってゆく。
 黒澤が言ったように、確かに花木のやらないことを黒澤自身はやっている。 花木のやり方は男の尻や性器を執拗になぶる執着はなかった。 入れれるのならすぐさま入れて腰を振った。
「潔よぉ、しちこか…」
 黒澤はたっぷりと花木をあじわう。中心をあえて避けたそのまわりばかりを攻めて花木をじらし堪能する。 きゅっ、きゅっとそこは反射的にわななき、黒澤は密やかに悦に入る。玉を含んでうまそうに舌で撫でまわす。 花木の快楽が穴の先から滲み出す。
「ああ、もおクロシャー、先にイきたか、」女と話すときのようにあまえる花木に黒澤はこたえない。
「先にいっぺん、」
「るせえ」
「入れたか、」
「ほざくな」 花木を横倒しに、自分のバンダナをほどく。それを口枷にするのではなく、視界を暗く閉ざした。 花木は黒澤の施す音と、その感覚ばかりにおおいつくされた。
 尖らせた舌が直接つついてくる。ぬっぬっと押し拡げようと挿し込まれる準備がされている。左右の深い肉を分け、中心が空気に触れようとしている。襞をぬめる舌がくすぐり続け、花木の全身の神経はその一点に高まってゆく。
「停め、」からだがびくんと捻る。引き締まる肉を掴んで尻を張る音が高鳴った。くっと花木がはね「キシャンにやがんな、」声とは裏腹に、奥の赤い肉が濡れてテカった。
 「じゃあ、イかせてやろうか」 中指1本でずぬっと深く貫く。中の指は角度をつけて肉壁を擦り上げた。結果、花木はだらしなく尿道から垂れ流す。
 「イっちまったな、」人悪そうに黒澤が耳元で低くささやいた。
「こん歯痒か〜!」花木はバンダナをむしり取って、黒澤に投げつけた。「なしこげんっ!」
「そう焦んな、まだこれからだろ」手の平に握る花木の精液を開いて見せた。溢れて指の股にまだ温かく、流れ落ちようとしていた。黒澤はそれで完勃ちの自分のものをじっくり撫で回した。「こんなインケツまがいで終らせやしねーよ。せっかくぬるぬるにしといて、まさかこれで終いはねーだろ。オレもまだだしな」俯き加減にふっと唇をあげた。
「ニヤニヤすな!クロサー腹かく〜」
「鯉だったか、鮪だったか、龍じゃねえよな、え?おまえ。
 魚がペラペラ喋ってんじゃねえ」テラテラ精液光りする手の平で花木の口を無造作に押さえつけた。
ゲッ、ペッペッと花木はツバキを吐き捨て、腕で拭った。
 「ほら、九里虎、尻出せよ。後ろ向いて、四つ這いになれ」自分の足元を指し、体位を変えろとくるくる指を回して見せた。「おまえが不満そうだから、きちっとイかしてやるつってんだろ。それともフェラでもしたくなったか?おまえのザーメンまみれのチンポなら丁度ここで勃起してんだがよ」ヌヌヌと扱きあげる。「こいつ、尻でもフェラでも早くおまえン中に入りてえとさ。 なあ、どうせなら尻にしてくれよ。せっかく具合よくしてやったことだし、」 花木に顔を寄せ、カツンと歯を鳴らして噛み付く真似をする。「なあ?」口の端に口づけ、そのままキスを押し付けた。 「入れていいのか返事くらい聞かせろよ九里虎」黒澤は“そんなもん訊くまでもなくハメるがな”という顔を隠さずにいた。
「テレテレすな」下から両脚で黒澤のからだを蟹挟む。
「ほら、言えよ九里虎」
花木は無言で挟んだ腰を自分へと引き下す。
ぴったりくっついた花木の穴と自分の先っぽを黒澤はくるくるまわし、それより中には進まない。
「もお!人がそん気ぃになっとーとやろ!よか言ーたらよか!さっさとしぃ!」
「よぉ九里虎サンよー」黒澤はゲンナリとした声で不服をたれる。「気も削げんだろ、その言い草は。 もしおまえが女にそう言われてみ?チンポも萎えるってヤツだろ。 せめて男ならこういう時、なんて言われてえもんかを考えて喋んな。 オレも入れてーの堪えて待っててやってんだからよ。オラ、待ちわびて先走り垂れちまうじゃねーか」竿を掴んでくいくいと突きつけると透明な糸が伸びて光った。
「ゲサク!いらんこつぬかすな」
「言えよ」
「    」
「ほら」
「  …せからしかっ!」
「そーじゃねえだろ“入れて欲しい”だろ」
「 ぬ゛ぅ、」
「女どもみてえに言ってみろ。よく言わせてるセリフなんだろ。その鸚鵡返し、それさえ口に出来ねえか、え、九里虎サンよ」
「   」そう言われて花木は余計に口を結んだままでいる。
「もーいーわ」ズッっと穴の弛んだ頃合に、いきなり根元まで竿を通した。「オレも気が長え方じゃねえ、メンドクセエ」
瞬時に花木の全身が強張って、仰け反った。ッツァァァッ
「絞めんな弛めろ、」 ぐいと奥を掻き回す。「リキむな」
 ひっひっとひくつく花木の背筋の硬さがじょじょにうすれて丸くなってゆき、シーツを鷲掴んでいた指がほどけだした。
 「よお、尻に突っ込まれた気分はどーだ」 おもむろに掴んだの花木の足首を左右いっぱいにひろげると、からだの中心が露になった。 黒澤は結合するあたりに潤む視線をそそぎ、滞っていた熱い息をゆっくりとはき出した。
「 ベツに、こげなこつ、大したこつやなか」
「そりゃ、大したことねーだろーよ。おまえほどハデじゃねーもんな。 オレは、チンポの味はどんなもんだって訊いてんだよ」すばやく抜き差しをして、根元でぐいぐいと抉りその程を知らしめた。
ハッ、「悪うなか」奥歯を噛んで口を吊り上げる。
「ケツマンコにぶちこまれんのも、なかなかオツだろ。」大股開きの花木をテンポよく突き上げる。そのたび、臍の上まで大きく勃起した赤黒い精器がぶるんぶるんと揺れた。 「すげえ… 」黒澤の喉仏が上下する。「自分でソレ、扱いてもいいんだぜ。 やれよ、頭がとけるみてえに  クセんなっから、」花木の手首を掴んで握らせる。その手の上から黒澤が扱きをかける。黒澤は花木を突き上げながら、握る手からはみ出した花木の亀頭を腐乱に擦り続けた。
 花木は腰高に、黒澤に吸い付いて動きだした。肉厚の尻がぶつかる音が激しくなり、花木が奥歯をくいしばる。突き上げた肉たぶがぎゅっと締まり、びゅるっと精液が飛び散った。
 花木の腰が黒澤に落ちる。
 大きなままの自分のものを握りしめ、わずかに痙攣を繰り返す花木のリズムに合わせ、黒澤は突き上げるのをまだやめない。 ぐったり力の抜け、弛んだ花木を執拗に突き上げ続ける。胸のキワや腹の窪みに溜まった濁った精液が、そのたびに垂れ流れる。
「おい、これ勃起しっぱなしでまだ続けてイけんじゃねえか」黒澤が指で竿を弾く。
花木の腰がヒクと持ち上がる。精器がぶるんと波打つ。それを掴まえて黒澤が扱きあげる。花木はされるがままにからだを投げ出している。伸びたからだに反して竿は充血し、いよいよ硬さを増す。黒澤の腰もぬれた音を絡ませ益々早まった。
花木の片足を高く担ぎ上げ、肉のより深くを突き上げ射精した。
喉元までを精液まみれに花木も果てた。
 黒澤は中から抜き出そうともせず、花木のものは脈打ち縮こまる気配もない。 黒澤はそれを太く握り、空に絶えるまで扱いた。
 最後にふたりは体液まみれでベッドにとけ崩れた。
 
 からだを流しながらキスを繰り返す。ふたりの皮膚の隙間をぬうようシャワーが流れ落ちてゆく。それを追いながら黒澤の指が花木のからだを撫で下ろす。
 黒澤がしゃがみこむと、花木はシャワーを後ろ手にとめた。 膝立ちで精器を口にふくむ。
「さすがにもっ回はムリかろお」
「それでもかまやしねえ、」
 黒澤の髪を持ち上げ顔を露にする。念入りに舐め上げるそのさまを花木はじっと見下ろした。 黒澤はそのままの黒澤に見えた。
 押し倒されたことがふいに頭をよぎる。その時どこかで感じていたチリチリとした妙な感覚、今あれが熱をはらんでからだの中に芯として残っているよう花木には思えた。 
 
 
:: 1週間、書くのをてこずった。
後になって「クロサー、しちこかー」なんて花たちにぺらぺら喋る九里虎。 ::

 
 
 
:: 卍:谷(本来、雪駄) 「はい なんでしょう」   20120119 ::


:: 眼鏡スキーなんです、。 20120114 ::


:: マフラー、憑きもの   201120106 ::

『 としのせの二人 』 
花木九里虎(留年) × 黒澤和光(地元就職)
20111231
 
 
 花木から突然電話があって、今からここに来るという。それを黒澤は「かまやしねえが、来んなら食いもん持って来い」と電話を切った午後過ぎ。
 玄関のドアチェーンを外しておいて、熱いシャワーを浴びる。 鏡の前の髭剃りの横、花木の置いていった青い香水壜を手に取る。シャワーの雫の飛んだ蓋を少しずらして、くんと嗅ぎ“あいつくせえ”と元に戻した。
 
 ぬれ髪で冷蔵庫前にしゃがみこみ、ガラガラのなかみを物色してると、外からドアノブを回す音がした。合鍵で花木が入ってくる。
「さっき言うの忘れたが酒が、 」
「買おてきた」
 靴を投げるように脱ぎ、レジ袋をシンクに置き、花木は背中から黒澤をぎゅうーっと抱きしめた。「あ〜寒か〜っ。クロシャーよかにおいの、ほかほかったい」
「今しがた、起きたばっかでよ」 素っ気なくもう離れろと、花木の腕をぽんとたたき、首にかけたタオルで濡れた髪を持ち上げる。 花木の持ってきたレジ袋を覗き込みながら「お、気ぃ利いてんな。おでんじゃねえか。冬はおでんに限るよな」それを抱え込みソファに持って歩いた。
 腕をぽんとやられ、キッチンに残された花木は「…可愛い気よか食い気…」と、焼酎のボトルを提げて黒澤に続いた。 「ワシんスジば残せ」黒澤の横にやけにくっついて腰掛ける。
「? なんだテメ、妙にベタベタしてんな、気味悪りい… ま、オレは、大根とはんぺんがありゃなんでもいいが、」 笑顔で、ぱちんと口で箸を割る。
「何ば言ーとと、おでんにタマゴは必須ばい」花木は牛スジ串の先にひょいと卵を押しさして1本抜く。
「つくづく肉食なヤツだな。
 で、今日はどうしたよわざわざ。まさかクリスマスにオンナがいねえグリコサンじゃねーだろ?」
「クリスマスにオトコば引き込むクロサーサンがおるけんね、」はふとタマゴの湯気を吹き「行く当てにゃ困らんバイ」カラシを絞り付け噛みつく。
「なんだよ、そんじゃクリスマスケーキ位買って来いよ。昨日の売れ残りがあったろーよ、」
「どーせ形だけしか食わんやろ、アンタ。もったいなか」 花木がチクリとつっかかる。 「立続けに別れ話ば続いて、正月明けまでここに居る」ぐっとグラスに注いだ焼酎をあおった。「ちべたか。」
 はっ、「生殖鬼、まさかのオンナ断ちだな」
「何でんよか。その分クロシャーとヤりりまくるけん」
「オレは色気より食い気だ」皿に取った濃い色の大根を箸でふたつにする。「おまえ、半分食うのか?」
「こん肉食うたら即ヤる。先、チュウばする」
 口に箸をやったばかりの黒澤の項を捉え、顔をかぶせる。「、大根味」
 圧し掛かられて、舌がじゅうぶんに絡まって、ようやく顔をそらせた。「だから、やめとけ」
 花木はがっと残りのスジを串から抜き取り、それを焼酎で流し込んで黒澤を抱いた。
 何もしない黒澤にジェルを塗りつけ挿入して、時間をかけて腰をつかった。黒澤には自分自身で吐精を促がさせる。花木は何度もそうさせながら、自分はそれを見下ろし、ゆっくり黒澤の肉を突き上げていた。
 「ま、オレは大根とはんぺんがありゃなんでもいいが。」下に敷かれながら、わらっていた。
「安かアナ。」
 
 腹に撒き散らかした精液を拭い、黒澤は「ほんとにここで年越すつもりなのか?」と怪訝な顔で花木に聞いた。
「おん」何か不都合でもあるのかという顔で花木は、裸で歩く黒澤を見あげた。
「仕事休みはねえし、元日の夜、オレは親元だけどもな。
 テメエも家帰えってみろよ、正月くれえ」
「よかよか。あん家、ワシの居らん方が丸ういくけん」そうめんどくさそうに手を振って、ベッドの上でタバコに火をつける。「ニシもどげんね?」とそれを差し出す。
「いやオレァ禁煙中だ。おまえも喫うんなら、」ベッドに横たわる花木の尻に踵を押し付け「換気の下いけよ」と蹴りのけた。
きゃー「痛かーっ!暴力モン!きしゃんみたいなニコチン中毒がタバコやめれるはずなかろー!」 そう言いながら、蹴られながらに換気扇の下に立つ。「おっとチッシュ。ちんちん揺れてまだザーメンの垂れる」
 黒澤に箱ごとティッシュを投げつけられ、サオを押さえたまま猫背で丸まってタバコをふかしはじめた。 タバコの煙が換気扇に巻きとられてゆく。そこにふうっ煙を吹きかける。「寒ぶ」
 
 「あ゛っコラッ!ワシん酒!クロサー、ニシんビールちゃんと買ーて来とろーもん、そっちば飲まんね!」花木はタバコを指にはさみ、その場でじたばたとする。
「寒みいじゃねーかビールだとよ。
 おまえも早く何か着ろよ。見てるだけでこっちまで寒みいわ。
 それとなあおい、ちょっとそこんコンロで湯沸かして持って来いよ。これ、お湯割りにすっから」 黒澤はとくとくと2杯目の焼酎をつぐ。
「あほー!かすー!」花木は丸めたティシュを黒澤めがけて投げつけた。
「汚ねーな。その裸のまま、冬空に蹴り出すぞコラッ、」
「あ そい…(済)…ったい。
 素っ裸ン局部、エアガンで狙い撃ち喰ろうて部屋ばおん出されたこつのあっと… あらキツか仕置きバイ…金玉の縮こまる辛さったい… 」
 黒澤が声を立てて笑いだす。
「もー思い出すだけで堪忍ったい…しかも笑い事やなか。
 そんオナゴん怒った理由て、携帯のニシとのハメ撮り写真見つかったからやけんね」
「 … 」黒澤の表情が唇を歪めたままかたまった。「 あ゛?」
「やけん、クロサーのイキ顔やら、結合ピンコ勃ち写真ばい」
 そう聞き、黒澤は花木の携帯に飛びついた。「嘘だろ?何でそんなモンがあんだ、」
「もお、フォルダーロックしとーと」ふふんと得意気に花木が鼻を蠢かす。「大事に保存しとお」
「そうなのかよっ!」黒澤はにやっとして、床に投げつけた携帯をがすっと踏み割り、花木に向かって中指を立てて見せた。
あ゛〜!!「キシャン!携帯!それで何度目ね〜!!」
 黒澤は割れた携帯を拾い上げ「るせえ、エロガッパ」と、窓を開け道路に投げ捨ててしまった。
「あぁ…!」慌てて花木が窓枠から身を乗り出す。素っ裸のまま。 下では車が立続けに携帯を粉々に踏み砕いて過ぎてゆく。北風も花木をなぶる。 「あ、あぁ…ワシん…」
「あーあ、ひでーな、ありゃ」黒澤はニットに腕を通す。
「どこ行く気やっ!?」黒澤の腕を掴まえ、力任せにベッドへ投げつける。「まさか、こんなり許されるち思ぉとらんやろ」横たえた黒澤に胴跨りに圧し掛かった。
「てめえは、口より先に手が出る。ぐだぐだくっ喋っちまったら、もうそれまで、だろ?
 な。
 さ、
 髪も乾いちまったことだし、仕事前にひとつ用を思い出しちまってよ、オレは出るが、おまえは好きにしてくれ」
「何ねそれ!?ワシ来たばっかで、なしキシャン出かけっと!?」
 するっと身支度を終えた黒澤の腕を掴んだが、さらりと払われてしまった。
「社会人の付き合いってもんがあんだよ。ダブったヤツにはわかんねーだろーがな。」 裸の花木の胸を突き、ゆっくりベッドに倒れてゆくのを背に、部屋を出た夕時。
 
 
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戯曲 『 花木九里虎、黒澤和光 携帯電話で 《 うる星やつら 》 について話し合う 』 
花木九里虎 − 黒澤和光
20110929
 
 
 花木九里虎は校舎の自室ソファに
 黒澤和光は代官山の職場建物の非常階段に
 各、腰掛けている。
 2人は携帯電話で会話をしながら、タバコの煙を交互にはく。
 
黒澤 : しかしテメーはこーも度々電話してくんな
花木 : 定額やけん
黒澤 : オレが言ってんのは、そーいう意味じゃなくてよ、
花木 : おお、せやせや。 今日はクロサーに訊こぉち思て電話したとこったい
黒澤 : あ゛?
花木 : うる星やつら。 自分知っとーと、あんマンガ?
黒澤 : あー一応な。 むかし秀吉さんが貸してくれたよ
花木 : チッ、あんマンガオタク。 やっぱむっつりったい(小声で吐き捨てるように)
黒澤 : オマエ、読んだのかよ?
花木 : おーおー、マン喫で。
      ラムちゃんのよか〜。ワシ友引高校に転校したか
黒澤 : おまえ、バカ丸出しだな(タバコの灰を携帯灰皿に落とす)
花木 : あげんエロかー格好で空ば飛ぶとよ、そらニュースも来よーもん
黒澤 : 何アホなこと言ってんだ、ありゃマンガだろ、マンガ
花木 : そげなこつ言やぁワシ等かてマンガやろーが
黒澤 : 違げーよ。SFなんだよ向こうは
花木 : ラムちゃんはサイエンスフィクション…。 言ーても虎柄ビキニブーツで空ば飛ばれてみ、キシャン、そら勃起もんやろーが
黒澤 : あー、あー、だろーよ
花木 : そいであん諸星あたるちゅーのは罰当りったい。ワシが代わったるっちゅーねん!
黒澤 : (おいおい、どこの人間になってんだ)
      テメエなんかあちらサンから軽く願い下げだろ
花木 : そんあちらサン、ちゅーのはラムちゃんのこつや?諸星ん野郎の良かで、ワシの悪か筈のなかろーもん(むむむむ…)
黒澤 : …まあ…(軽く間があく。バカらしい話をしてると思ってる)…そうかもしれねーなテメエもがんばってみろよ…
花木 : そいであん諸星ん野郎、あげんよかオナゴ等に囲まれとーとよ!あ゛ー歯痒ぁー!
      ランちゃ〜ん!(口の端に手首をあて、昔のアイドル応援団風に遠くに叫ぶ)
黒澤 : でも、どこでも誰ひとりモノにできてねーじゃねーかよ
花木 : 漢やなかー!
黒澤 : まあ、連載が少年雑誌だったからだろうな
花木 : そいとオナゴん漫画家の怖かとこばい。男に対する容赦んなか仕打ちばい。
      そげんこつよか、あげんよーと色っぽかオナゴばっかし描けたもんったい。どーかいなー!
黒澤 : …保健室の、
花木 : おーサクラ先生!お色気ヌンヌンったいねー
黒澤 : (オレはその婚約者のツバメでヌいたことあんだけどよ)
      テメエなんか、妖怪エロガッパは巫女に退治されんだよ。 性欲魔人、ついでに性病除けにお払いしてもらっとけ。
花木 : んーん(黒澤の話を聞いてない風)おユキさんも捨てがたかー。ワシ、おユキさんなら下男でんよかv
黒澤 : 下男か…(雪道、花木の肩を踏み躙る妄想を頭に描いてみる)いいんじゃねえか
花木 : クラマや、いつでんワシが子作りしちゃろーもん!
黒澤 : ま、っどっちにしても虚しい話だぜ。なんせあっちはもう連載終了してんだからよ。
      しかも小学館と秋田で出版社違ってるしよ。
花木 : …あーあ…淋しか…
黒澤 : つーか、そんなバカらしこと言うためだったのかこの通話…切るぜ
     寒っ(突風にぶるっと背筋をふるわせ、非常口をばたんと閉め、建物に入る)
 
 
:: ちょうど、読みたいなーと思ってて。ちょこっと。 ::
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